1月14日(土)午後2時から、ピーポート甘木にて福岡県地域住民・家族介護者向け認知症公開講座「認知症高齢者を地域で見守るために」が開催されました。この冬一番の冷え込みだったにも関わらず、認知症に関心を持つ百数十名の方々が会場まで足を運ばれておられました。
心がほっとするような優しい声の中神法子さん(精神保健福祉士)の司会でいよいよ公開講座の始まりです。
林道彦理事長(医療法人社団うら梅の郷会)の挨拶に続き、今日のメインは長編動画「毎日がアルツハイマー」。これは、認知症を発症したお母さん(宏子さん)の日常の喜怒哀楽を撮影した動画を、ドキュメンタリー映画としてまとめたものです。
認知症関連の映画は、認知症によって次第に記憶や機能が失われていく過程や、介護の大変さに焦点があてられているものが多い中、全く違ったものでした。映画には「ごく当たり前の日常」が全編にわたって描かれていました。
宏子さんの怒りは、娘との普通の親子喧嘩に過ぎないし、孫とのなにげない会話もどこにでも見られる光景。寒い冬にこたつ中でくるまってしまう姿も、美味しいものを美味しいと感じる部分もすべて当たり前の日常です。
映画中に出てくる医師も、認知症によって脳が影響を受ける部分は全体の5%程度だと話されていました。脳のほとんどの部分は影響を受けないわけですから、認知症の方を訳のわからない人、何もできない人と思い、介護者の考え方やペースでお世話することかがいかに危ういものなのかを気付かされました。
認知症によって生じる生活上の問題、介護の問題も多いとは思いますが、作者は自分の流儀で生きていく母との生活を自分自身も喜怒哀楽をぶつけながらも自然に行っています。
こんな家庭であるならば、こんな家庭を作ることができれば、認知症になっても自分もまあ大丈夫かも知れない、そんなことを感じた冬の一日でした。
最後に、認知症医療センターの末次基洋センター長のミニ講話があり、公開講座も楽しく有意義に締めくくられました。
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